2012/03/29

ふんわり甘いプリンと苦いキャラメルソース


録画に溜めていた「運命の人」をやっと見終わった。
感じた事、考えた事、見つけた事がいくつもいくつもあって、正直まだ整理がついていない。
また山崎豊子さんの作品をもっと見たいというのが、今の率直な感想だ。
そしてもっと多くの人にこの作品を見て貰いたい。感じて、考えて貰いたいとも思った。

自分がドキュメントを撮りたいと思った頃、既にそれは下火もいい所だった。
ドキュメントの写真が流行った時代は、今からもう二十年以上前に終わった。

考えるという事はとても疲れる事だ。
普段運動をしていない人には、腹筋ひとつとってもするのが億劫なのと同じ様に、人間というのは楽な方、楽な方へと行ってしまうのが自然な事なのだろう。

見てくれる一部の人達だけに伝わればいい。
その人達の中で何かが変わり、そこからまた誰かに伝わっていく。
ゆっくりゆっくり。急には物事は変わらず、きっと消極的にも思えるその姿勢しか物事を変える事なんて出来ないのだろう。

もっと多くの人に見て貰うには。感じて、考えて貰うには…。
他のもので表面を覆ってしまえばいいと考えた。
飲んでもらいたい苦い薬を、相手が喜んで自ら飲むような甘いオブラートに包んで。

生々しいドキュメントをストレートに写すのではなく、それを美しい写真で包んでしまおう。そう思った。
今はジャーナリズム的なものを撮ろうとは思わないが、その考え方はずっと自分の中に根付いているものと思う。
それは感情というものにシフトしていったが、いったい今どれ位それが表現出来ているのだろう。