2023/11/19

NikonのISOオートとストロボの併用による問題

不安定なISOオート+ストロボ

普段ISOオート(感度自動制御…以降ISOオート記述)で撮ることがほぼないため気付かなかったのですが、室内でストロボ(フラッシュ…以降ストロボ記述)での撮影にISOオートを使うと、同じ被写体、似たような構図でも感度が超高感度だったりISO3桁と低感度になったりと不安定で、その原因を探ろうとしたのが発端です。


最初に試していたことは光が差し込む室内での日中シンクロ。

が、ISOオートではアンダーに出ますが感度はISO640。

カメラはD780でマルチパターン測光でMマニュアルモードのISOオート、ストロボはSB-5000でTTL-BL(TTLバランス調光) FP発光(ハイスピードシンクロ)オンです。

1/500s f16と高感度にシフトしてもらうよう設定しました。


BL(バランス調光)の調査

・BLオン

背景は飛ばず適切に写り、被写体は少しアンダーに写っています。

元々逆光なのでプラス補正を入れることを考えれば、感覚としては素直に受け入れられます。

感度640

・BLオフ

BLを切りTTLとFPの表示だけにすると背景は少し飛び、被写体は適正です。

被写体がバッチリ適正なので、いかにもストロボ焚きましたという感じの写真になりますが、補正なし撮って出しならBL入っている写真より好ましいです。

感度3200

望む写真はそれらの間…輝度差が大きく屋外である背景は少し飛んで、被写体は気持ちアンダーで出るといいのですが…。

写真をつければ一目瞭然なのですが、自分モデル&自宅での風景がバリバリ写っているので、申し訳ないのですが想像してください。

あ、僕の顔と家を想像ではなくて、写真の仕上がりを。

設定の見直し

何かしらの設定の影響だろうか…と考え、設定を見直してみました。

関係がありそうな箇所は3箇所。

  1. ISO感度設定(の特に、ストロボ使用時の制御上限感度)
  2. 「フラッシュ・BKT撮影」にあるe4ストロボ使用時の感度自動制御
  3. 「露出・測光」にあるb3マルチパターン測光

1.ISO感度設定

何をどう変えても変化なし。

2.ストロボ使用時の感度自動制御

「被写体と背景」「被写体のみ」とあります。

ここで「被写体のみ」を選べば背景とのバランスを無視して高感度かつ被写体適正になりそうなものですが、なんとISOオートがオフになります。

感度自動制御の設定項目なのに、何も言われず書かれもせずオフになるので混乱します。

3.マルチパターン測光

顔認識をするかしないか。結果としては関係ありませんでした。

他カメラでの挙動とシンクロスピードの検証

D750で試してみたところ、違った挙動が現れました。

こちらは奥さんがISOオートで使うため自分でも試して知っていたのですが、ストロボ使用時は感度設定で設定した基準感度の4倍(2絞り)の上限が自動でかかります。

例えばISO100で設定すると上限を6400に設定していても400までしか上がりません。もっと高感度にしたい時は、基準となる感度を800にすると3200まで上がるようになります。

ストロボを使用する時は画質低下を避け低感度で撮影したい場合と、高感度で背景の定常光も活かしたい場合を使い分けられる仕様と思います。

室内でのBLでの写り方は、背景もろともアンダーに出がちですが、露出補正やRAW現像で修正しやすい挙動です。

新しめのカメラとしてZ fcでも試してみましたが、挙動はD780と同じで基準感度は無視。D750にはないストロボの上限感度も設定項目は新設されてはいるものの、なかなかそこまで感度が上がることも少なく、事実上活きない。

ISOオートがプログラムオートのようなカメラ任せの完全なオートになったような感じで、多分i-TTLの仕様変更があったのかと思います。

ISOオートでも高感度で撮るには

いろいろ試したところ、どうもアルゴリズムが、強すぎず弱すぎずの発光をする傾向になっているのか、距離が近いと低感度に、距離が遠いと高感度になるようです。

つまり、例えですが発光量が一定で、感度を変えることで露出を変えるような感じです。多分、プリ発光で「これじゃ弱い!」と判断すると、光量ではなく感度を上げています。

逆に言えば、近い距離だと「充分届くから感度落とすね!」と判断しているような…。

そう仮定して推測したのですが、バウンスアダプタ(ヘッドに被せる拡散ボックス)やワイドパネルで光量を意図的に下げてしまえば、必然的に感度をアップしてくれるかも…と試してみたらビンゴでした。

FP発光の時のみ起こり、シンクロスピード域では起きないのは説明がつかないのですが、うろ覚えですが初期のFP発光がオートで撮れなかったことなど、FP発光は仕組み上(一定閃光の連続発光)光量の調整、連動に制約が多いのかもしれませんが、通常時の挙動など考えるとそれも考えにくいので、正直ニコンがなぜこのような仕様にしたのかはわかりません。

発端となった感度の不安定さは、ちょうどこのアルゴリズムの切り替わる境目だったのかもしれません。

ISOオートは撮影条件が違い、時間のない撮影には便利なものですが、何かを変えなければならないのなら最初からISOオートは使わず感度を自分で変えればいいので、結局撮影方法は進歩せず昔のままとなりそうです。


以下、まとめとして、「ISOオート+ストロボ撮影で高感度で撮りたいのに低感度になってしまう」問題の解決策です。

  1. FPを使わない(シンクロ域で)
  2. BLを切る
  3. バウンスする
  4. バウンスアダプタやワイドパネルの使用
  5. 距離を取る
  6. Fvロックを使用する
  7. ISOオートを使わない


追記(23.11.19 15h):サンプル画像を追加しました。
屋外での写真で少し分かりにくいのですが…。
●サンプル1
こちらは特に影響がなかったサンプルです。
BLの有無、高速シンクロの影響は特にありません。
BLの方が自然な感じに発光していて、BLを切ったTTL発光はいかにもストロボ焚きました!という感じに少しオーバーに写っていますが、これはそういうものです。


●サンプル2
こちらは直射日光が当たらない日陰での撮影です。
BLが入っている上段は高速シンクロ域に入ると感度が半分に落ちています。
また、BLを切った下段の感度と比べると半分のISO感度になり、BLがかかった上段の方がストロボを効かせた写真に見え、BLを切った下段の方が背景とのバランスを取っているように見えます。








参考リンク