(他にも例えば、カメラをいじる楽しさや、定点観測など変化を見る楽しさ、自己表現、承認欲求としての面もありますが、今回言いたいこととは少し路線が違うので割愛します)
コレクションとしての面白さ
これは、記録としての面白さに通じることかもしれません。
好きなものを撮り、それを身近に置いておきたい…それにより自分が広がったような感覚でしょうか?いつでも好きなものを見れるという理由からでしょうか?
分かりませんが、コレクション…集めて手近に置いておきたいという心理はあるかもしれません。
知らないものを知る喜び
イレギュラー…普通とは違うものです。
知らなかった、見たことのなかった新しいものを知る楽しさ。
普段目にする当たり前と思っていたこと、当たり前と思っていた姿が、違ったものに見える驚き。
その驚きや新鮮さが楽しく感じる。
だいぶ前からなのですが、美容学校で写真の講師をすることが何度かありまして、ここ最近も久しぶりにそういった仕事をして、その時生徒さんの反応を見て思ったことです。
写真の基礎である、
- シャッタースピード
- 感度
- 絞り(被写界深度)
このうち、被写界深度の違いを説明、体感してもらうために、単焦点レンズを使いました。50mm/1.4。
それを使って夜の街で被写体探し&撮影…。
みなビックリするんです。そのボケ方に。
写真をある程度かじった人ならば見ることも多いかと思いますが、一般的には多分、そういった背景ボケの大きな写真を見ることはあまりないのだと思います。
一般的には、そして写真家の間でも、写真はある程度絞って「シッカリ」と写すものだという概念が当たり前になっていますから。
ましてや撮像素子のフォーマットが小さくなり、またスマホが主体になった現在では、大きなボケというものを見る機会も、体感する機会も少なくなりました。
注意深く観察すれば肉眼でもボケを感じることはできますが、脳内補正により基本的に肉眼はパンフォーカスに見えます。
だから、ボケのある写真というのは、見えているものとは違う、イレギュラーなものなのです。
そしてそのイレギュラーさに驚き、興味がそそられるのでは…と考えました。
他の例をあげます。
例えば一時期から特に流行り始めた、高速シャッターによる瞬間を写し撮った写真…空中でポーズをしたりするような写真が典型ですが、それらも、肉眼では得られないものを見せてくれる楽しさから来ているのでは?と。
そうやって考えるとなんでもそうです。
自分の知らない世界を見せてくれる風景写真。
細かくはよくわからない、マクロ撮影。
肉眼で見るのとは程遠いけれど、実際そこに存在することを具象化する天体写真。
それらは、肉眼で見えているものとは違った、自分の知らない世界。
銀塩とデジカメ
確かにデジタルカメラは便利だし、また新たな表現も可能になりました。
ただひとつ…どう写るかわからなく、結果がすぐに…いや、シャッターを切る前から分かってしまうことから、イレギュラーの楽しみは奪われました。
ただ、デジタルになってからもその点を意識し残してくれたのがHipstamaticというアプリです。
未だに更新されていますが、もう一昔前の流行りと言われても仕方のないアプリです。
それは、構図をしっかり決めてもブレが生じ、多種あるフィルターのうち、どれがかかるか分からないという、その予想外な感じが楽しいアプリでした。(今はそういった挙動を任意に選択できるようになっています)
写真とは、真実を写すものではなく、そこに予想外なことが発生するから面白い。
自分はそう思います。