二年前、偶然たどり着いた集落に今日、また行くあてもなく向かった。
川沿いにある集落の入口には、梅が咲いていた。
ハイキングコースの看板と唯一電気を感じる自販機は、まるでちいさな温泉街の入口のよう。
しばらく梅の写真を撮っていたら、軽トラックが一台止まる。
よくあるパターンだ。これは、怒られる…。
経験的にそう思った。
観光地でもなく、素晴らしい景色があるわけでもない場所でカメラを担いでいると、多くの場合怪訝な目で見られる。
軽トラックの老人から声をかけられた。
「どこから来たの」
「梅、撮っていたのかい」
自分が気にしすぎていたことが分かり、少しホッとした。
82歳になるこの老人は、以前この集落に住んでいたらしい。
江戸時代から続く土地を手放し、今は少し町よりの場所で暮らしているそうだ。
集落にはもう誰もいないと…。
手入れされた茶畑があるところを見て、まだ住んでいる住人がいるのかと思っていたが。
この老人の他にも、ここには何かの用事で時折帰ってきている住民がいるのだろうか。
元気な足取りで案内された旧自宅を拝見させてもらった。
奥さんは最近体の調子が悪く、今日は他の町で暮らす娘が見舞いに来ていたようだ。
自慢の立派な石垣の前で写真を撮ってくれないかと言われる。
老い先短いんでな~と。
もちろん。二つ返事で写真を撮った。
このあと集会があるとそこで別れた。
ちいさな集落。ここにも歴史がある。
それを忘れちゃいけない…そんな気がした。
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