2019/04/30

平成も終わり

31年前
昭和天皇崩御の時、僕は皇居へ行った。
泣き崩れる大勢の人々がそこにはいた。

当時僕は天皇が何なのか、いまいちピンと来ていなかった。
いらないのでは?とも思っていた。

ただ、その場にいて
無視の出来ない感情が生まれた。
関心を持たないまま無視し続けてはいけない気がした。

その日からずっと考えていた。頭のどこかで。
天皇とはなんなのか。
なぜあそこまで号泣していたのか。

平成の終わる今、やっと自分の中での答えが出た気がする。

それは日本の象徴であり、日本国民の象徴でもあり、時代の象徴。


日々ニュースを見ていると、天皇がよく画面に現れる。
式典のとき、災害での慰安など。
僕はそういった天皇の姿をテレビ越しに30年見てきた。
そして僕もその間、30年生きてきた。
いろいろな出来事があった。
日本にも、自分自身にも。
どんな時でも常に、天皇はいた。微笑んでいた。国民皆を応援してくれていた。
「変わらないもの」だった。

なぜあそこまで号泣していたのか。僕の中の答え。
それは投影。
64年間という長い年月。ましてや戦争という大きな出来事まであった。
時代は元号よりももっと速いスピードで進み、楽しいこと辛いこと、次々と入れ替わる。
そんな目まぐるしい現実の中でも天皇だけは変わらずにそこにいる。
時代を生きてきた自分を天皇というかたちに投影する。
涙したのはきっと、振り返った自分の人生なのだろう。
そんな「変わらなかったもの」がまた終わる。


記 平成 三十一年 四月 三十日